―あなたのクラスメートのえば子ちゃんは博士課程の学生ということですが、本当に博士号を取得できるほど彼女は頭がいいのですか?えば子ちゃんの言動を見ると、論理的に物事を考えるのが苦手のように思えます。彼女が英語が苦手というのはわかりましたが、それだけではとんちんかんな言動を説明できませんね。
「えば子ちゃんは4年前にこちらで修士号を取得し、続いて博士課程に進学しました。博士課程の資格試験に合格していますし、学位取得に必要なクラスは全部取り終えています。あとは研究について二回学内で発表を行い、博士論文が受理されれば博士号が授与されます。今のところは順調であると申し上げてよろしいかと思います。現在えば子ちゃんは一回目の研究発表に向けて、誠心誠意準備中でございます。」
―えば子ちゃんの学校での成績はどうですか?
「それは個人情報でございますので、わたくしは知りうる立場にございません。」
―本当ですか?あなたは以前えば子ちゃんが取っていた授業の宿題の採点をしていたそうですね。
「わたくしが数学の授業の宿題の採点をしていた時にえば子ちゃんがその授業を取りました。採点した結果につきましては先ほども申し上げました通り個人情報でございますので、公表は差し控えさせていただきます。」
―えば子ちゃんの宿題の回答はどのようなものでしたか?あなたがわかるように書いてありましたか?
「えば子ちゃんの回答は非常に論理的でした。数学の授業だったので、数式だけを書けば解答になります。英語でしゃべったり書いたりするとわけがわからなくなるようです。」
―資格試験についてはどうですか?先ほどえば子ちゃんは資格試験に合格しているとおっしゃいましたね。えば子ちゃんが資格試験を受けた当時、あなたはえば子ちゃんとオフィスを共有しており、えば子ちゃんの試験準備を家庭教師のようにして手伝ったそうですね。それは本当ですか?
「わたくしども同じ学科におりますので、あるいは、おっしゃるようなことが、過去の一時期、あったやも知れません。」
―資格試験は何科目ですか?
「資格試験では全部で四科目の試験を受けます。個々の成績につきましては個人情報でございますので、差し控えさせていただきます。」
―さては何か知っていますね。
「何を知っているかも含めて申し上げることはできません。」
―どうも怪しいですね。何かおもしろいことがあったんでしょう?
「そっ、それも申し上げることは控えさせていただきます。」
―ちょっと動揺しましたね。
「それも個人情報でございますので、公表は控えさせていただきます。」