もしもあなたがインド人と聞いてターバンを頭に巻いた男性を思い浮かべるとしたら、それはきっとカレーのテレビ・コマーシャルに刷り込まれたものです。頭にターバンを巻いた人がカレーライスを食べている姿を想像していませんか?「インド人もびっくり」なんていうフレーズまで自動的に思い出しているかもしれませんね。インド人の大多数を占めているのはヒンズー教徒で、彼らはターバンは使いません。ターバンを頭に巻いているのは少数派のシーク教徒です。
うちの学科にいる何人かのインド人の教授や学生はほとんどがヒンズー教徒です。でも一人だけシーク教徒がいます。博士課程の学生のシンさんです。シンさんはひげもじゃで、はっきり申し上げてむさくるしい顔をしています。ただし、頭に巻いているターバンの色が濃紺だったりワインレッドだったりでなかなかのセンスです。
ヒンズー教徒の場合は着る物の色や柄で家柄からカーストまで全部わかるのだそうです。僕は前からシンさんのターバンの色に何か意味があるのか気になっていました。原則としては宗教について立ち入ったことは聞かないのが暗黙の了解なので、シーク教の戒律の一つであるターバンについて聞くのはちょっと気が引けます。しかし、どうしても知りたい。
ある日僕が学科のコンピューター・ルームに入るとシンさんがいてその横のマシンが空いている。チャンス。
僕:(されげなさをよそおいつつシンさんの隣に座る)「こんにちは。」
シンさん:「やあ。元気?」
僕:「元気。シンさんのターバンの色には何か意味があるの?。」
シンさん:「色には特に意味はないんだ。自分の好きな色でかまわないし、着ている服に合わせる人もいるよ。」
僕:「ネクタイのようなものだね。」(金曜日は赤、とかあるのかと思ったよ)
シンさん:「そうだね。要は頭を覆えば何でもいいんだ。ターバンの長さには6ヤード(5.5メートル)と8ヤード(7.3メートル)があるんだけれど、僕は手軽な6ヤードにしている。友達で8ヤード巻いている人もいるよ。」
そうそう、8ヤード男見たことある。頭が大きいく見える人ね。薄い黄色のターバン。
さらによくシンさんのターバンを観察していると、濃紺とワインレッドの二色を日替わりでとっかえひっかえしているだけでした。調べてみると、シーク教徒は全員が平等であることを示すためにほとんどの「男性」がシンと名乗っているのだそうです。カースト制度で差別しまくりのヒンズー教に対抗して、平等を強調しているという意味のようです。ところで、シーク教では男女間は平等なのかな?全員が同じ名前だったらややこしくないか?